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写真2 |
記念すべき第一回は、回転成型のパイオニア”スイコー株式会社”です(写真1)。お話は、尼崎工場長の横山さんと、生産技術グループリーダーの尾崎さんに伺いました(写真2)。 |
当社は、1963年に創業してから、ポリエチレンの回転成型による製品製造を一貫して行ってきました。現在は、国内市場の約4割を占めるトップメーカーです。回転成型とは、ポリエチレンを金型に入れ、金型に熱を加えてポリエチレンを溶かしながら、回転させることで成型する加工方法のことです(写真3)。生産工程など詳細については、スイコーのホームページをご覧ください。 |
 写真3 |
回転成形は、もう一つの樹脂加工法であるインジェクション(射出)成形と比較すると、大型化や多層化が可能である一方で、大量生産が難しいという特徴があります。そのため、これまでは大型タンクや、薬品の貯蔵タンクの製造に用いられてきました(写真4)。スイコーは、現在のこの分野でも、国内市場の40%を占めるトップ企業です。 |

写真4 |

写真5 |
しかし、少子高齢化など国内市場の縮小傾向を見据えて、新たなビジネスチャンスにチャレンジしている企業でもあります。
特に、近年は、安全性が求められる遊具類の製造に力を入れています(写真5)。
回転成型のポリエチレン製品は、これまでの鉄製遊具と比べても、柔らかく継ぎ目がないため、子どもも安心して使用できる特徴を持っています。
また、これまで回転成型技術は欧米が先行しており、こうした製品はすべて輸入でまかなわれていました。
しかし、製品の性質状、輸送の段階で変形するなどの不具合も少なくありませんでした。 |

写真6 |
こうした問題は、スイコーが製造を始めたことですべて解決し、顧客からも好評を得ているそうです。
(遊具類の製造は滋賀工場のため、残念ながら製造の現場を見ることはできませんでした。)
また、遊具類以外では、デザイン性の高いイスや花鉢など家具も生産しています(写真6)。 |
しかし、こうした道のりには大変な苦労があったようです。たとえば、遊具には安全性に基準を定めた規制があり、誰にでも製造したり設置したりできるわけではありません。スイコーは、そうした基準をクリアし安全な製品を作ることができるようになりました。また、タンクとは異なり、遊具類や家具の形状は複雑なため、製品の製造が困難であるだけでなく、金型の設計や製造も苦労したとおっしゃっていました。
このように、回転成型は、ノウハウの蓄積や高い技術力が必要なため参入が難しい一方で、遊具や家具、自動車製品など幅広い製品分野への転換が期待されています。その中で、スイコーさんは、ノウハウと高い技術力をデザインと融合することで新しい分野へ積極的に進出している尼崎期待の企業です。
(桜井靖久) |
【スイコー株式会社】
所在地:尼崎市西向島86
事業内容:回転成形法によるポリエチレン製品の各種容器の製造販売
創業:1963年
従業員数:120名
TEL:06‐6412‐5855
HP:http://www.e-suiko.co.jp/
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